ジョゼと虎と魚たち

空気感の忘れ難い映画。
網の上でじりじりと焼かれる魚、箸で摘まれる糠漬けの野菜。
玄関口でジョゼが行かないでと振り絞る場面、トイレで恒夫がジョゼに縋る場面、海で二人で戯れる場面、道端で恒夫が泣きじゃくる場面。
色々と忘れ難い。
押し入れで二人が偶然触れた指を絡ませ合う場面が一番エロティック(最中に恒夫の彼女が突然訪れ中断されるところまで含め)。
二人の絡み自体はここで言われてる程のものではなく、フランス映画の意味もなく(あるんだが)物凄くやらしーのに比べれば、すこぶる健全ちゅーか爽やかであった。
若さが海の波頭に散らばる陽の光のように眩過ぎて、いつまでも目に残る。
見ている最中、出演者同士がこんなにも真っ直ぐに向き合ってしまう映画の共演って恐い、と強く思った。
わたしが妻夫木の彼女だったら絶対出て欲しくないもん。